2011/01/06

僕がファッションイベントの仕事を辞めた理由。

(厳密には辞めてないけど。)


2010年、秋。
僕はそれまで生計を立ててきたファッションイベント・ショーの仕事を辞めた。
厳密には続けているのだけれど、その分野に多くの時間を費やすことを辞めたのだ。ある時期を境に突然10が1になったくらいの割合だ。
大したことでもないし、こうやって公の場に晒すような話でもないのだが、ふとした時に思い出すと自分の中で発見があるのではないかと思い、このように文章にすることにする。
その仕事を辞めた理由は以下の点が挙げられる。

①景気に左右される。

②つまらない。

③限界が見えている。



①に関しては説明は不要だろう。世の中には「イベント業界」というものが存在しており、僕が携わっていたファッションショーやインスタレーション、フェスなどの催し物も「イベント業界」にもカテゴライズされる。ファッションに限らず、イベントビジネスというのはどうしても娯楽要素が強いものとなっており、景気の善し悪しにもろに左右される。場合によっては収入が前期の半分、とかもマジである。

②に関しては少し説明が必要かもしれない。僕は20歳の頃、過去何者でもない時に(今もそうだが。)、生のパリコレクションをこの目で見たいがためにフランスへ一人で旅立ち、もちろんインビテーションも持たないにも関わらず、いくつかの一流ファッションショーを見てきた。決して多くは無い。が、あらゆる手をつくしてでも見たいと思った程のファッション好きだ。パリのファッションは甘美に包まれていて美しかった。それを期待して東京へと出たのだ。(念のため説明しておくと僕は転勤族で故郷は無いが、これまで東京に住んだ事はなかった。)しかしそこで見たものはどうだ。あのパリとは似ても似つかないほどのクオリティの違い。あらゆるところで。服も、店も、ショーも。全てどこかの真似ばかりで個性のかけらもないじゃないか。真似をして同等以上のクオリティを再現しているのならまだマシだが、劣化コピーの横行だ。そしてそれを取り巻くヒトがつまらない。

③は②と少し似ているというか、続きとなるのかもしれないが、②では業界にいるヒトがつまらないと話をした。とてもじゃないが、着いて行きたいと感じさせるヒトと出会えると想像できなかった。それはそうだ。デザイナーでも、スタイリストでも、フォトグラファーでも、演出家でも現在世界で活躍しているヒトなんていないじゃないか。自分がそうなるのが嫌だった。こんなところで疑心暗鬼で学んでいても、限界は見えている。一流の技術は、一流からしか学ぶことは出来ない。


なぜこんな事を突然ブログに書こうと思い立ったかと言うと、年末年始の旅行で自分に大切な事は何かを少し理解できたからだ。古い友人や恩師の元を訪れ話をし、見知らぬ土地を歩き、一人になり考えることで、本当に必要な事を感じ取ることが少しだけできた気がする。

(とかなんとか言ってイベントの仕事は刺激的で嫌いではないので、細々と続けていくのだがw)

HAPPY NEW DECADE...

あけましておめでとうございます。

今日まで旅行、そして明日から仕事モードです。
ブログも少しずつ再会。

本年も宜しくお願い致します。

Yuichiro Mori